Case

KINOKUNIYA
https://www.e-kinokuniya.com/

高品質な商品のこだわりを店舗からリアルタイムに発信する

コーポレートサイトをリニューアルしたい

紀ノ国屋さんから最初にいただいた依頼は、古くなってきたコーポレートサイトをリニューアルしたいということでした。スマートフォンに対応したデザインに刷新し、コーポレートサイトとECサイトの導線を見直してお客さまの利便性を高めたいという要望でした。あらためてWebサイトをチェックしてみると、最低限の企業情報は掲載されているものの、商品や店舗の情報が少なく素っ気ない印象でした。このまま、デザインや構造を改善しても、成果は出せないと感じました。

紀ノ国屋の魅力をもっと伝えたい!

リニューアルのヒントを得るために青山にある旗艦店舗に足を運びました。前を通りかかったことはありましたが、店中に入るのは初めてでした。近所のスーパーよりも、値段は高いですが、商品は新鮮で珍しいものも並んでいます。それより私の目を引いたのは商品を説明する情報が豊富なことでした。

商品一つ一つに商品特長を説明するプレートがついています。産地や生産者を紹介するポスターや加えて、売り場にある手書きのポップがとてもいい。鮮魚売り場では、たらの切り身に「お鍋はもちろん、サックサクのフライにタルタルソースでも絶品!!」とあります。ちょうどお昼どきだったので、揚げたてのフライを食べたくなりました。商品の良さ+食卓をイメージする情報提供、これはユーザーの課題を解決するインターネットの手法に親和性が高いと感じました。

店内にはこんなにも情報が溢れているのに、サイトにはほとんどありません。店内にある豊富な情報をネットに出していけば、もっとたくさんの人に紀ノ国屋の良さを感じてもらえるはずだと思いました。

そこで、Webサイトのコンセプトとして
「お客様に対してWebサイトでも店舗と同じおもてなしをする」ことをご提案しました。
Webサイトリニューアルの方針として2つを定めました。
1.紀ノ国屋の考える食と商品のこだわりをネットで伝える。
2.店舗の従業員の皆さんから直に発信できる仕組みを作る。

Webサイトを見て来店するお客様なんているの?

提案に対して、社内からは懐疑的な意見もでたようでした。紀ノ国屋の顧客層は、年齢層が高いので、ネットで情報発信をしたからといって、それを見てくれる人は少ないのではないか。それがきっかけで店舗に来る人がどれほどいるのか?

これまでお客様が利用しなかった。だからこれからも必要ないと考えるのではなく、成果を上げるにはやり方を変えていく必要があります。まずは、お客様に向けたコンテンツを整備して、毎日利用したくなるWebサイトを作りましょう。というこちらの主張を、担当の商品戦略室 室長 杉原さんが社内に粘り強く説得していただいたおかげで、プロジェクトは前進していきました。

実際に店舗に情報発信依頼をする段階になり、そこでも現場からWebサイトを更新するのは忙しいし難しいという意見が上がりました。これまでやっていないことに手間をかけたくないという気持ちもわかります。しかしそれでは、今回のリニューアルの効果が半減してしまいます。

店舗側からは、アルバイトの採用情報は積極的に出したいという要望が強く上がりました。現場では、お客さまの来店を増やすことよりも、従業員を集めることが課題だったのです。お客さまが増えても心地よい接客ができなければ、満足させることはできません。そこに思い至らなかったことを反省し、現場の課題解決を優先するように軌道修正することにしました。

まずは、本部主導で情報発信しつつ、採用情報の発信でWebサイトを活用していただく。しばらく運用して、店舗の担当者がWebサイトの更新ツールに慣れてきたところから、徐々に店内のイベントやおすすめ商品について情報発信してもらおう。ということになりました。

紀ノ国屋の挑戦は、まだ始まったばかり

提案から4ヶ月間後、リニューアルしたWebサイトが立ち上がりました。お客様のエントランスとして情報を一覧するトップページから、5つのカテゴリーを設置しました。商品を一つ一つ掘り下げて詳しく紹介する「商品情報」、イベントや店舗からのお知らせを掲載をする「店舗情報」、紀ノ国屋の概要、歴史を紹介する「企業情報」、アルバイト募集を含む採用情報です。そして新たに設けた「特集」は、レシピ動画や食のコラム、商品開発の裏話など、紀ノ国屋ならではのこだわりをお伝えするコンテンツです。ECサイトへの導線もグローバルナビゲーションと各商品情報ページに配置して誘導を強化しました。もちろん全てのページがスマートフォンで快適に閲覧できます。

公開後も試行錯誤の連続ですが、従業員の皆さまが自分たちの情報を少しでも出していこうと取り組んでいる様子を聞いていると、きっとその熱意はお客様に伝わっていくと確信しています。

株式会社紀ノ国屋
https://www.e-kinokuniya.com/