デジタルマーケティングに取り組むなら、まずWebサイトの見直しから

何から手を付けたらいいのか分からない

デジタルマーケティングという言葉がバズワードのようになっていて、企業も何かやらなければならないけれども、何をしたらいいのか、どこから手をつけるべきかわからなくて、右往左往しているようにみえます。そこで、自社のウェブサイトの活用は不可欠です。競合他社が様々な取り組みを見ると自社でも取り入れなければと焦る気持ちもあるかもしれません。まずは目の前にある自社WEBサイトを最大限に活用するところからスタートするのが最も効果的です。

Annoyed designer gesturing in front of her laptop in her office 

デジタルマーケティングとは

デジタルマーケティングは注目されているものの、言葉の意味する幅が広くて捉えづらい概念です。これまでの販促施策をオンラインと組わせて実施すると考える人もいれば、店頭のデジタルサイネージ、はたまたビッグデータからユーザーニーズを分析するようなことを思い浮かべる人もいるかもしれません。

デジタルマーケティングとは、デジタルテクノロジーで、これまでできなかった大勢のお客様に対して個別に手厚い対応をするということです。期待される成果は、お客様のニーズやタイミングにあった提案による販売の効率化、良好な関係を築による継続的な購入によって、LTVの最大化です。

デジタルマーケティングは、インターネットの広がり、スマートフォンの普及、ネットワークテクノロジーの進化、デジタル機器の価格低下、このような社会環境変化のもとで急速に発展しました。その核になるのは、お客様の行動データです。では、そのデータをどこから取得するのでしょうか?ネットであれば、WebサイトやSNSを閲覧した記録、リアルは、スマホの位置情報、IDカードの入退出記録や店舗に設置されたカメラやセンサーなどで取得します。

これらデジタルとリアルの行動すべてをデータベースに取り込みます。それを分析することによってお客様のニーズを予測します。その予測に基づいて、お客様一人一人にもっともふさわしい対応を行います。デジタルテクノロジーの力を借りることで、これまでに考えられなかったような少人数でこなせるようになるのです。競合より一歩進んだ提案によって、お客様の心をつかむことにつながります。

 

デジタルマーケティングを始めるには

そんなことができるなら、経営者なら今すぐやってみたいと考えるでしょう。しかし、そこには大きなハードルがあるのです。まず、問題になるのはデータの取得です。お客様の購買データや商品のデータはデータベースで管理されている。とおっしゃるかもしれません。それは間違いないですが、そこに紐づける行動データがありません。それがなければニーズを予測することができません。

ですから、まず、必要なデータを集めなければなりません。外部から購入することもできます。たとえばカードやポイントの利用データなどです。しかし制限もあります。個人保護の意味合いもあり、自社の個人情報と結びつけるのは困難です。では、自社でカードを導入するとしても、サービスとの整合性やデータベースにある個人情報との紐づけ、取得したデータを可視化して、分析するためのツールも導入しなければなりません。準備や取得に時間もかかりますし、相応のコストがかかります。

では、デジタルマーケティングを始めるためには、大きな投資が必須なのでしょうか?、ほぼ無料ですぐに利用可能なデータがあります。それは、自社Webサイトのデータです。Webサイトのユーザー行動は「ログデータ」として、既にサーバーに蓄積されているからです。これを活かさない手はありません。

ユーザーの行動データを見ていくと、様々なことが見えてきます。どんなキーワードでサイトに流入したか、SNSでは自社の何が話題になっているのか、サービスの中でもどれが注目されているのか、何ページくらいを閲覧して、どこから営業につながる資料請求やお問い合わせをしたのか。そんなことが把握できるようになります。これまで何人訪問したのか?といったレベルで漠然と見ていたのであれば、大きな進歩です。

ただし、Webサイトのログデータだけでは、個人が特定できません。通常はブラウザのCookieという仕組みを使って個人を特定するキーを埋め込みます。ECサイトや会員登録をさせてサービスいる場合は、既に行われているかもしれません。そうでない場合でも、MAツールなどの導入によって紐づけは容易に可能です。

 

Webサイトでユーザーのニーズを把握する

しかし、すぐに物足りなくなってきます。いくら丁寧に行動を追って分析をしてみても、お客様の動機(ニーズ)がよくわからないのです。それでは、営業が最適な対応を考えることもできません。それで「自社Webサイトでは限界なんだ」と考えてしまいがちです。本当はここからがデジタルマーケティングの入り口なのです。

お客様は目的をもって来訪しているのに、なぜその動機がわからないのでしょうか?それは企業サイトの多くが、商品カタログやサービスメニューをオンラインで提供する目的でつくられています。それは企業にとっては売り上げの根幹ですが、お客様にとっては、選択肢の一つです。お客様にとっては企業サイトとは、必要なものを探しまわった後の最終到達地なのです。

マーケティングの世界で「ドリルが100万個売れたが、これは人びとがドリルを欲したからでなく、穴をあけたかったからである」という格言があります。おそらく壁にフックを付けたいといった課題があり、穴をあけたいというニーズが発生します。それを実現するためにドリルを買うわけです。

これをWebサイトに置き換えると、検索エンジンで「ドリル」ではなく「壁に穴をあける」と検索したときに、上位に表示されるページが必要なのです。ですからドリルの機能や性能の情報だけでなく、穴をあける道具の紹介、道具の使い方、やってみた体験記、のようなコンテンツを準備する必要があるでしょう。

自社の商品やサービスからニーズを想定し仮説を立てて、それがお客様から支持されたか検証する。それがデジタルマーケティング初めの一歩です。幸い、自社のWebサイトのページを増やすことには、コストはほとんどかかりません。しかし、ニーズにあわせてページの中身を準備していくの担当者にとって骨が折れる仕事になります。対応するコンテンツがなければ、記事をライティングしてもらわなければならず、時間と費用も馬鹿になりません。

様々なニーズに限られたコンテンツで対応するための一つのアイデアが、既存のコンテンツを組み合わせて、ページを生成する仕組みを構築することです。「まとめサイト」をご存知だと思います。新しい情報を加えるのではなく、ネットに散らばるっているページを収集して、自分の言いたいテーマに沿ってまとめるサイトです。これと同じことを自社のサイトで行うのです。

例えば、「壁に穴をあけたいDIY好き」を想定するのであれば、「使いやすいドリルの選び方」のアドバイス記事、「プロに選ばれる性能」として工務店の事例「性能は十分で、他社より軽い」という点でスペック表では見逃してしまう使いやすさをを訴求します。


同じ商品でも「プロが自分の道具を探ししている」想定であれば、「現場でのタフさ」を説明する構造解説、求められる機能の一覧、「プロに選ばれる性能」の工務店事例記事は共通でかまいません。「性能は十分で、他社よりバッテリーが持つ」という利便性を訴求する場合もスペック表は同じです。

ターゲットの想定するニーズに対して、仮説をたてて訴求すべき内容を整理します。それを表現するメッセージや検索されそうなキーワードのみ見出しとして作成し、コンテンツは、既存のものを組み合わせて一覧します。検索エンジンから流入したお客様には、自分に必要な情報が網羅されたページが提供されて満足します。Web担当者は、少ないコンテンツで多くのニーズに応えるページ作りによってコストを抑えて成果を出せるのです。

 

お客様のニーズ毎に専用の入口ページを準備する

既存のお客様は、社名で検索します。社名で検索しているのですから、サイト内に自分が必要とする情報があることをわかっています。ですからトップページではサイト内のコンテンツをカテゴリー分類して一覧できるようにしておけば、お客様が情報を探してたどり着けます。

 

社名を知らない(思い出さない)お客様はどうするでしょうか?。彼らは上でお話したように、自分のニーズを満たせる情報を探します。そこで利用されるキーワードを考えるコツは、想定するお客様(子育て中のお母さんかもしれませんし、会社の経営者かもしれません、それは様々ですが)の顔を思い浮かべて「〇〇したいから(商品名)を使う」という言葉でキーワードを連想してみるとよいでしょう。

 

新規のお客様は、たとえ訪問しても油断できません。自分が必要なものがこのサイトに有るのか無いのかわかりません。検索結果をクリックして最初のページで目につかなければ、時間が惜しいので、すぐに他のサイトに直帰してしまします。ですから、お客様が一番知りたいことだけを一覧できるように配置しなければなりません。お客様のニーズに応じた商品、事例、商品の利用シーンや使い方のノウハウ、関連するイベントを絞って一覧するのが、お客様毎の入口である、ランディング(入口)ページです。

 

ランディングページはキーワード毎に設定しますが、リンク先のコンテンツは、全タイプ分を用意するわけではなく、より近しい内容、関連する内容とするので、当然重複します。担当者からすると、極端な話、どのページからも同じコンテンツにリンクするけど大丈夫なの?と思うかもしれません。サイトを訪問するのは初めての人ですし、検索エンジンのキーワード表示されるのは、基本的には1ページのみです。ですから「自分に合った切り口のページが準備されていた」と感じる訳です。

 

ひとつひとつコンテンツを指定してページを作成するのは、ちょっと面倒です。ですから最初から、コンテンツ使いまわしを想定してサイトを構築するのです。カテゴリーに分かれたコンテンツに対して、ページに共通する「タグ」を複数付与しておきます。タグは、商品のニーズや利用シーン、業種や業態、性別や年齢、なんでもかまいません。このタグでコンテンツを一覧することで、テーマにあわせたページを作成します。タグをきちんと設計しておけば、ランディングページは自動生成することも可能です。このようなサイト構築手法を「マトリクスアーキテクチャー」と呼びます。

 

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参考:デジタルマーケティング時代のサイト構造 マトリックス型ウェブサイトとは

 

あとは、どのランディングページから訪問する人が多いのか、またどのコンテンツを閲覧したいと感じるのか、こまかく見ていくことで、ユーザーが何に興味を持っているのか、徐々に見えてきます。さらに仮説を深めて情報を追加し検証というサイクルを回していくことで、さらに精度の高いページを作ることができるとともに、そこで得られる情報をリアルの営業、店舗にフィードバックすることで売り上げを増やしたり、サービスの改善につながるでしょう。

デジタルマーケティングをスタートするために多くの投資が必要と考えるのではなく、まずはできるところから始めるべきです。そこでまず取り組むべきなのは自社のWebサイトの活用と改善です。これからの企業Webサイトに求められるのは、情報を更新しやすくする機能ことから、仮説検証をしやすくして成果を見える化する機能です。それがWebサイトをデジタルマーケティングに活用するために必須のものだからです。

 

石原 強 (Tsuyoshi Ishihara)

株式会社アーチャレス 代表取締役社長 / デジタルマーケティングディレクター Webの黎明期である1996年からこれまで20年以上、大手企業のWebサイト構築、運用を手がけ、ネット戦略立案から社内体制づくりを企業担当者とともに実践してきたデジタルマーケティングのエキスパート

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