企業Webサイトのリニューアルがうまくいかない理由

リニューアルをするのは何のため?

仕事柄、これまで多くの提案依頼に目を通している。そこに書かれているリニューアル理由の第一位は「Webサイトが使いにくいからリニューアルをして使いやすくしたい」ということだ。使いにくいから人が来ない、使いやすくすればお問合せや購入が増える、という理由でリニューアルを依頼してくる。 Professional woman showing concern at work using her laptop, displaying a concept graph in decline behind her

 

依頼内容を詳しくみていくと、要望はテンコ盛りだ。デザインを刷新してUIを向上し、SEOを考慮して集客力を上げる。お問い合わせを増やして営業に貢献し、CMSの導入で、社内で楽に更新できるようにしつつ、セキュリティには最大限配慮したうえで、サーバーを含めた、維持コストを大幅に削減する。いろいろ書いておけば、プロがうまく提案してくれると考えるかもしれない。しかし依頼を受けた方は、そのサイトに本当に必要なことなのかを考えることもなく、工数を見積る。その方が簡単だし、予算も確保できる。いちいち考えていたら、効率が悪い。

依頼した担当者は、見積の総額に愕然とすることになる。予算を軽くオーバーしている。あわてて見積を見直して、不必要な項目を削っていくことになる。あれもできない、これもできない、それでもなにかやらなければならないから、せめて見た目くらいは刷新したい、ということになる。その頃には、もう元の理由なんてどうでもよくなっている。さらにエイや!と値引きを迫る。そこで値引きに応じることができるのならは、見積りがざっくりなのか、とにかく仕事が欲しいのか、どちらにしたってクオリティは期待薄である。

 

リニューアルプロジェクトはスタートしてからが一大事

それでも、何とか予算をとって、発注できることになった。めでたしめでたし、あとは、プロがいい感じにまとめてくれてるだろうから、完成したものをちょいちょいとチェックすれば大丈夫くらいに考えていないだろうか?それは大間違いだ。リニューアルは思っているよりも簡単ではない。きちんと要望を伝え、最終形を共有しながらダメな点を具体的に説明して修正を繰り替えす。必要な原稿や写真素材を社内から調達する。それは担当者であるあなたの仕事となる。

リニューアル期間が2から3ヶ月だとして、原稿の収集作業に追い立てられ、ひっきりなしに制作会社からくるチェックに追われ、社内の関係部署からの要望の取りまとめや説明に追われる毎日になる。その間、既存サイトの更新作業もある。それでもスケジュール通りにリニューアル公開されればまだ良い。制作の遅延、社内で同意が得られない。社長の一言でひっくり返る。そんなことで足踏みしていると、公開はどんどん遅れていく。ウェブ担当はリニューアルに手一杯となり、既存サイトは放置されたままで社内から怒られる。やっとの思いで公開にこぎつける。

なんやかんやとトラブルもあったけど、公開したし、やっと平穏な日々が戻ると担当者はほっとする。さて、肝心の集客やお問合せ数はどうなっているだろう?とチェックしてみると、あろうことかリニューアル前よりも下がっている。ここまできて、かけた時間とお金を返してくれと叫んでみても、後の祭りだ。

 

リニューアルで成果が出ないのは何故なのか?

この場合、担当者はどこで間違えたのだろうか?リニューアルを実施すると決めた時点から間違っているとしか言いようがない。実際、サイトの「使いやすさ」と「人が来る」「お問合せが増える」ことに因果関係は薄い。サイト制作者にとって「使いにくい」とは「操作性が悪い」という解釈になる。作業は、デザインを見直して、ナビゲーションやボタンの配置、リンクによる誘導を改善することになる。そこで抜け落ちるのは、ユーザーにとって最も大切な情報・コンテンツの充実だ。

集客もお問合せもユーザーに刺さるコンテンツが第一である。サイトの使いやすさは、そのあと2番目である。本当に欲しい商品があれば、不便な場所にあるお店であっても、そこに足を運ぶ。これまでと違うユーザーが必要とするコンテンツがなければ、集客を増やすことはできません。コンテンツを充実するのは、今あるサイトをちょっといじれば対応できる。

では、リニューアルはなぜするのか?それは、サイトに新たな役割が必要になった時に行うべきだ。例えば、新しい営業の仕組みを作っていくとか、もっと顧客サポートを充実させるために使う。といったことだ。サイトの見た目を刷新するだけではなく、社内の仕組みの刷新を伴うものになる。それを伴わない程度の変化なら、今あるサイトを改修したほうが費用もかからず効率的であることが多い。あなたが、今サイトのリニューアルを考えているのであれば、もう一度、何のためにやるのか?考えてみることをお勧めする。

 

 

石原 強 (Tsuyoshi Ishihara)

株式会社アーチャレス 代表取締役社長 / デジタルマーケティングディレクター Webの黎明期である1996年からこれまで20年以上、大手企業のWebサイト構築、運用を手がけ、ネット戦略立案から社内体制づくりを企業担当者とともに実践してきたデジタルマーケティングのエキスパート

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Requirement Definition  要件定義・提案依頼書(RFP)作成   リニューアルプロジェクトの成功には、発注側のニーズを的確に制作会社に伝達することが不可欠です。制作会社とのミスマッチはプロジェクト遅延やコスト増大といったリスクにつながります。我々が御社に変わって最適な制作会社の選定を支援・業務代行をいたします。 詳細を見る