どうしてWeb制作会社は思い通りに動いてくれないのか?

つきあってる制作会社は気が利かない

Webサイトの運用は、日頃のページ更新や修正などは担当自身が行う作業です。しかし、さらに成果を伸ばすための改善では、新しいコンテンツや機能追加が必要になることがあります。そのようなWebサイトの改修は、一般的にプロである制作会社に外注します。私は仕事柄、Web担当者から「制作会社を変更したい。良い会社を紹介してもらえないか」という相談をたびたび持ちかけられます。今、使っている制作会社はダメだと決めつけるのではなく、どうしたらうまく付き合えるのか考えてみてほしいのです。

Two girls work at office and talking

Web担当者に理由を聞くと、共通するのは「対応が遅い」「プロとして的確なアドバイス、提案がない」といったことです。私も制作会社で長く働いていたので、このようなサービス品質に対する要望は耳が痛いところもあります。反面、企業の担当者も、驚くほど制作会社の使い方が下手です。もっとうまく使ってくれれば楽になるだろうに、と感じることもよくありました。


制作会社の中はどうなっているのか

お金も払っているんだし依頼したらすぐに対応してほしいという担当者の、気持ちはわかります。ここでは、その気持ちをちょっと我慢して、制作会社の中を覗いてみましょう。人数は100人以下の小規模な会社が大部分です。

制作会社では、通常複数の案件が平行しています。あなたの企業もいくつもある仕事のひとつです。限られた人数でいくつもの案件に対応するために、メンバーに案件を割り振ります。その時点で優先順位が高いと判断される仕事を優先します。優先順位の決め方は会社毎に違いますが、受注金額高いとか締め切りが近いといった理由が一般的でしょう。

特に、企業の半期、期末と呼ばれる9月、3月は繁忙期になります。そこではリソースの取り合いになっています。それに加えて、他の案件でトラブル対応に追われて、すべての人員が火消しのために、動いているといった状態なんてこともよくあります。普段は対応が良いのに、急に反応がないというのもそういった事情があると考えてよいでしょう。

既に案件を割り振りって仕事をしているときに、急に依頼された仕事があっても、他の案件メンバーが掛かり切りなので、すぐに対応できないという事が起こります。たまたまスタッフの手が空いてたから当日対応したが、次に依頼されたときは、別の仕事でトラブルがあってすぐに手をつけられない。明日対応と言ったら、「前回は当日やってくれたのに」なんて不満を言われた。なんて愚痴をよく聞きます。

では、社員が多い会社に依頼すれば対応できるか?というと、そういうわけにもいきません。受託型の制作会社は典型的な労働集約型のビジネスです。受注したコストに対して人員を割り振りますから、手が空くわけありません。会社には営業やバックオフィス業務もありますから、制作に携わるメンバーは意外と少ないものです。

その上、企業毎にサイトの内容も運用の細かいルールが異なることが多いために、スタッフ個人に案件の知識がクローズしていることも多いのです。内容を理解している担当者以外いないと、スムーズに対応することができなかったり、急にスタッフが退職てしまって、十分に引き継がれてないというのも、対応が後手にまわる原因になります。担当者からの依頼に、とりあえずやりますと答えたものの、他の案件は立て込んでいるし、誰も内容を知らないのでうかつ手を出すこともできず、後手に回る、というのはよくある話です

一方、提案依頼への対応はどうでしょうか。提案をもらって見積までは無料と考えている担当者も少なくありません。しかし、制作会社から見れば、提案にも相応の時間を使います。せっかく時間をつかってもそれに見合う対価が払われなければ、ほかに優先すべき案件の対応にまわります。まずは、きちんと提案に見合う発注をしているかを考えてみなければなりません。せっかく提案したけれども発注しない、という担当者相手では、制作会社のやる気はなくなります。

発注する際も、見積でも松竹梅で3パターンを出して、なんてこともよくあります。担当からは社内を説得するために必要なのかもしれませんが、選ばれるのが最安値の梅ばかりだと手間に見合わなくなります。本来、依頼側が要望とともに予算を提示して、提案が予算オーバーする場合は両者で内容を吟味してすり合わせるすべきなのです。すべておまかせで提案したのに予算は最小限という回答では、制作会社もビジネスですから、提案しても割に合わないと思われても仕方ありません。

これまでもお金を払ってきたのだから、提案くらいやるのは当然とか、専門的な内容だからどのくらいの予算が必要かわからない。といった思いもあるのかもしれませんが、制作会社側からすれば発注の早い会社の仕事が多くなれば、見積を出してもなかなか発注されない会社とは、距離を置きたくなるでしょう。

 

制作会社を味方につけるコツ

では、制作会社とうまく付き合うにはどうしたらいいのでしょうか。それは難しいことではありません。とにかく、要望を具体的に伝えること、曖昧にしないことです。何のために、何をしたいのか(目的、得たい成果)、いつまでに、いくら出せるか(条件)、要するにビジネスで当たり前のことをすればよいのです。

急ぎ対応といっても、制作会社側からすれば、どの会社からも急ぎ対応を求められます。そこで、早く手を付けてもらいたいなら、作業に必要な情報をそろえて依頼することです。急なトラブルで「うまく動かない、なんとかして」と言われても、制作会社は、何が原因なのかわからなければ対処できません。まずはそのトラブルが再現するかチェックすることから作業を開始します。ですからトラブルを再現する手掛かりになるように、誰が、いつ、どんな操作をして、どんな状況なのか、面倒でも整理して伝えることです。エラーとなった画面をキャプチャーして送るだけでも、エラーの種類が表示されていることがあるので、解決は早くなります。

Webサイト更新の場合、原稿を渡して「すぐやってください、いつできますか」と問うのではなく、いついつリリースを打つので、その時間に公開したい。と伝えるほうが調整をしやすいでしょう。できれば、事前に今後のリリーススケジュールと原稿の入稿タイミングを伝えておけば、その時間を空けて準備することもできます。制作会社は、前日に依頼されるよりも3日前に予告されれば調整の余地は広がります。

提案が欲しいならば、コストとスケジュールの開示は必須です。金額感がよくわからないとか、足元を見られると感じるのか、曖昧に依頼するケースが多いのですが、費用が変わればやれることがかわります。いくら要望に沿った魅力的な見積でも、予算オーバーでは実現はできないでしょう。制作会社も見積を出す上で、自社で抱えている人員で対応できない業務に関しては外部に委託します。その交渉には費用やスケジュールを明示しなければなりません。それが曖昧だと、決まってから交渉することになるため、スケジュールが遅延することや、最悪、スムーズに制作できないという事態も起こります。

複数の見積も、契約につながるのであれば制作することはやぶさかでもありません。複数の見積が「どう役立つのか」を知りたいのです。実現性を検証した見積を作成するのは大変な労力ですが、金額に差がついているだけでよいなら簡単です。例えば上司を説得するために、金額の高い見積が必要ならば、それを正直に言ってもらえれば、ベースとなる見積に項目を足したり単価を割増していけば良いのです。あとは説明できるように整合性を合わせるだけです。採用されないのですから精度が低くても良いわけです。

提案後の交渉についても、やりたいことや求めるクオリティに優先順位をつけて、多少のことには目をつぶったほうが良いでしょう。同じ金額だとしても、前向きに仕事をしてもらえれば、良いサービス、クオリティ高い成果物を受けることは可能です。要望を明確に。手続きは迅速に。この当たり前の事を、しっかり守ることが信頼関係につながるのです。

ここであげたようなことは制作会社側で吸収すべきだろう、と考える人もいるかもしれません。しかし、同じお金を払うなら、より品質の高い成果物を得られるに越したことはありません。お伝えしたいのは、思いやりや道徳論ではなく、相手を動きやすくすることが、担当者にビジネスメリットをもたらすということです。

 

セカンドオピニオンを持つことも検討する

とはいえ、制作会社も得意不得意があります。なんでもこなせる会社はありません。依頼を受けても不得意な領域や人数が足りない場合は、外部に依頼するのが普通です。そういう時は返答に時間がかかったり、的外れなこともあります。いくら頼りになる会社だとしても、1社になんでもかんでも任せるのは無理があります。しかし担当者としては、いくつもの会社と付き合うのも面倒です。

しかも、ネットの世界は日進月歩で、新しい取り組みには判断に迷うことが多くなります。制作会社から説明された施策や改修方針について、納得のいかないこともあるかもしれません。「別の方法はないのか」と思う場合もあるでしょう。専門家でもいろんな意見を持っていますから、その中から自分が納得できる方法を選ぶためには、情報収集に時間がかかります。

そんな場合は、Webコンサルタントに依頼して直接の利害の発生しない第3者の意見を聞けるようにするのです。いわば、医療におけるセカンドオピニオンです。セカンドオピニオンを持つことで、制作会社の提案を別の角度から検討することができます。あなたが納得のいく施策を選択することができるようにプロの目線でサポートしてもらうのです。

Webコンサルタントに依頼するコストはかかるでしょうが、判断のスピードを早めたり、Webサイトに対する理解が深まることもあります。また、別の手法が提案された場合には選択の幅が広がることで、より納得してプロジェクトに臨むことができます。制作会社だけでなく自社の課題も指摘してもらうことで、現在の制作会社との関係をよくすることもできるかもしれません。

良い結果を得たいのであれば、制作会社と良い関係づくりを心掛けなくてはなりません。相手も人ですから、自分たちの都合を一方的に押し付けるのではなく、相手の事情も考慮した上で依頼すればスムーズにことが運ぶでしょう。要望は伝えつつも、譲れること譲れないことを明確にすれば、より良い提案がもらえます。もちろんどうしても納得いかなければ、第三者に意見を求めてもよいですが、決めるのは担当者の責任です。制作会社を活かすも殺すもあなた次第です。適材適所でうまく使いこなすことができれば、あなたの評価を高めることにもなるでしょう。

 

石原 強 (Tsuyoshi Ishihara)

株式会社アーチャレス 代表取締役社長 / デジタルマーケティングディレクター Webの黎明期である1996年からこれまで20年以上、大手企業のWebサイト構築、運用を手がけ、ネット戦略立案から社内体制づくりを企業担当者とともに実践してきたデジタルマーケティングのエキスパート

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