コンバージョンの正しい意味とは

ユーザーの「心」と「行動」が変わること

Webサイトの目標設定をする上で「コンバージョン」という言葉を聞いたことがあるだろう。なにげなく使われているが、マーケティングにおいて、きちんと押さえておくべき大事なキーワードである。

Conversion Rate Increase Red Button - Finger Pushing Button of Black Computer Keyboard. Blurred Background. Closeup View. 3d Illustration.

 コンバージョン(Conversion)とは、変換、転換、交換といった意味を持つ英単語だ。では、マーケティングにおいて、なにを変換するのか? それは、ユーザーの「心」と「行動」である。例えば、バーゲンでお得になっている商品を見つけて、衝動買いしてしまった。というような場面を考えてみよう。「必要ではなかったのに、欲しい気持ちが急に高まる」ような心の変化が起こり、それは、「後先考えずに購入した」という行動として現れる。この心の変化と行動を「コンバージョン」と呼ぶ。

 

これを、Webサイトの行動としておきかえてみると、「購入(申し込み)ボタンのクリック」とか「営業へのお問い合わせフォームの完了」となる。これは、Webサイトに訪れたユーザーが「欲しいと思った」ことの証明として誰が見ても明確である。

 

衝動買いを例にあげて説明したが、通常ユーザーが購入に至るまでの心境の変化は、もっとゆっくりしたものだ。商品が高価であればなおさらである。営業マンなら経験あると思うが、売り込む相手と話しをしている中で「振り向く」「目が輝き出す」「笑顔になる」「握手する」といった行動によって、次にどのように交渉するか判断する。

 

上手な売り込みは、相手とのキャッチボールのようなもの

企業が投げるボールの多くは、「私たちの商品を買ってください」とか、「私たちの商品はスゴイ便利です」と書いてあることが多い。しかし、それを受け取るひとは、あなたの会社をよく知っている既存顧客である。大手企業はこれまでの歴史の中で、多くの顧客を獲得しているから、それでも一定の反応がある。

 

しかし、これから事業を伸ばそうとか、あまり知られていないBtoB企業の場合は、そのボールを受け取ってくれる人はほぼいない。ではどうするのか?「商品を買うとこんなメリットがありますよ」「こんな風にビジネスに役立ちますよ」と言ったメッセージだ。商品ではなく、相手の立場で、買った後の自分を想像させる。売り上げが上がる、コストが下がる。「私たちの商品を買ってください」という主張を裏付ける理由である。これがあると社内を説得させることになる。

 

では、まだ買うつもりの無い人とキャッチボールを始めるにはどうしたらいいのか?相手はボールを受ける気がないから、こちらを見ていない。まずはそっぽを向いている相手をこちらに振り向かせる一言が大事だ。

 

コミュニケーションは、ユーザーを振り向かせるところから始まる

路上で不特定多数の人を呼び止めるのは、「今、時間ありますか?」である。答えやすい質問であり「時間があるなら、話を聞いてみませんか?」という提案に繋がる。多くの人は相手にしない訳だが、たまにはそれで引っかかる人がいる訳だ。

 

確率は低いけど、数多く当たれば一定の確率で、振り向くことがわかる。この「振り向く」がとても大事な行動であり、最初のコンバージョンなのである。そのため最初の呼びかけは、「疑問形」がポイントだ。

 

多くの人の悩みに関わる質問、「もっと健康になりたい?」とか、「お金持ちになりたい?」「もっと美しくなりたい?」なんてメッセージもよく見かけるだろう。誰もが持っているけど、口にしていない。そんな望みを突いていくことができれば、受け取る人はずっと増えてくる。

 

「あなたは、こんなことに悩んでいませんか?」というボールをなげると、思い当たる人が、心を読まれた、とドキッとして振り向いてしまう。そこから、「あなただけではないんです」とつなげる、そうするとホッとする。「その悩みは解決可能です」「私はあなたが知らない知識を持っている、だから解決する方法を教えることができる。聞きたいですか?」とつなげる。

 

そこで食いついてくる人には明るい未来を見せる。「健康なら毎日が楽しくなりますね」「美しいと結婚できるでしょう」とそれを実現する商品、サービスがこれです。という訳です。あとは、買いますか?、それでもうーん、と悩む場合、じゃあ、あなただけに、特別に一回分無料にしますよ、でもこの場で契約するという条件です。今じゃなかったら縁がなかったということです。と畳み掛けるのである。

 

売り込む方法は、手順化されている。それを自社におきかえてうまく使えるようにメッセージをカスタマイズするのが担当者の腕の見せ所である。なぜ大きな企業のデジタルマーケティングがうまくいかないのかという最大の原因が、「振り向かせること」を軽視するからである。大企業は、圧倒的に、メッセージを出せば「振り向いてくれる」という前提で施策を組み立てている。

 

コミュニケーションとはキャッチボールだから、一方的に、投げ続けてはダメだ。スムーズにやり取りするには、相手のいる位置に投げなければダメだし、ちょっと外れた球でも、受け取るテクニックが必要だ。テクニックとは順番である。相手が受け取りたくなるような投げかけ、納得しやすい順番でボールを投げる必要がある。それを繰り返していけば必ず相手との距離は縮まってくる。これはリアルのコミュニケーションもオンラインコミュニケーションも同様である。

 

石原 強 (Tsuyoshi Ishihara)

株式会社アーチャレス 代表取締役社長 / デジタルマーケティングディレクター Webの黎明期である1996年からこれまで20年以上、大手企業のWebサイト構築、運用を手がけ、ネット戦略立案から社内体制づくりを企業担当者とともに実践してきたデジタルマーケティングのエキスパート

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