競合企業に勝つためのデジタルマーケティング導入の心構え

スピードにこだわるのか、クオリティにこだわるのか

Webサイトを軸にしたデジタルマーケティングをうまくやれている企業とやれていない企業、その違いはどこにあるのでしょうか?私が多くの企業のコンサルを通して感じるのは、企業の情報発信においてスピードにこだわるか、制作物のクオリティにこだわるかの差なのです。 athletic runner finish line track

うまくWebサイトを活用できない企業にしばしば見られるのは、制作物のクオリティにこだわる姿勢です。会社の顔となるのですから、こだわるのは当たり前なのですが、なにもかも自社の思い通りに完璧を目指すことが必ずしも良いことだとは限りません。

これまでのテレビCMや、チラシなどのメディアは完璧に完成させることが求められていました。放映された後に変更したり、配った後に修正することは莫大なコストがかかったり回収ができないために不可能だったのです。とはいえ、それだけ注意深く多くの関係者が知恵を絞って作成している、テレビCMもしょっちゅう炎上しています。企業や制作側がいくら知恵を絞って考えても、すべてのユーザーの意に沿うものを作るのは困難なのです。

Webサイトは公開してから修正するのは容易です。むしろ公開後にユーザーの反応に合わせて変更を加えていく方が効果的です。常に変化させることができるのが、これまでのメディアで実現できなかったウェブサイトの強みだからです。Webサイトは常に新鮮さを求められます。いくら熟考して制作しても、3ヶ月もすれば飽きられます。そのためには、早く公開して、ユーザーの反応を取り込む必要があります。

少々のことなら問題が出た時に直すという考えでないと、社内にある有益な情報を迅速に出すことはできません。早く動く企業が勝つ、はネットの常識です。情報は正確でなければなりませんが、訴求メッセージやコピーライティングは洗練された一点を完璧に仕上げるよりも、同じ労力で、複数のパターンを作成して、次々と変えていく方がユーザーをつなぎとめることになります。

ユーザーのために誤解がないようにと、細かなところまで、あーでもないこーでもないと修正を繰り返すと、そもそも何が言いたかったのかはっきりしなくなります。また社内の意見を集約して納得するためには時間がかかり、なかなか公開できません。結果として素早く情報発信できる競合他社に話題を持っていかれてしまうのです。

 

インターネットはアマチュアの本音が好まれる世界

そもそも、ネットは、プロとアマチュアの境界線が曖昧な世界なのです。こういうと誤解を受けそうですが、テレビや印刷物のように、プロに依頼しないと発信できなメディアではなく、誰もが、自分で発信できるメディアがネットです。

これまでのメディアはプロの世界でした。お金でほとんどのことが解決できました。それが覆されたのがネットの世界です。初期の個人のホームページから、ブログ、ユーチューバーまで、表現の多様性を支えてきたのはアマチュアの力です。ビジネスにおいても、ECサイトもアプリもWebサービスも、個人のアイデアが大きなビジネスに育った例は、枚挙に暇がありません。

ネットでは、プロの洗練された表現よりも、アマチュアのつたないコンテンツが親しみをもって受け入れられることが多くあります。なぜならネットは建前が嫌いです。発信する人の体験や本音が知りたいのです。だから、いくらお金をかけて着飾ってみせても中身がなければ相手にされないのです。ですから、社員全員がネットのプロになる必要はありません。業務のプロとしての知見がネットに発信されることが重要になります。

これからの企業の仕事は、良い情報も悪い情報も社内で完結するのではなく、ネットにシェアして完了という時代がやってきます。ネットの購買行動モデル「AISAS」の最後はシェアとなっています。購入した後に周囲に情報をシェアして完結します。企業もユーザーに取り組みを認知させるためには、そのことをシェアしなければなりません。これからの時代は、ネットへのシェアが全てのゴールなのです。

 

これからは社員一人一人が情報発信する時代

ユーザーは、知りたいことはまずはネットに情報を求めます。いくら企業が世間に対して良いことをしていても、ウェブサイトに情報がなければ、理解されません。口コミで伝わるいい話は、昔はおくゆかしさとして評価されたかもしれませんが、誰もが情報を発信する時代、そんな風に考えてはくれません。ネットになければ、やってない。言えないということは、なにか後ろめたいことがあるからだ。と穿った見方をされることだってあります。

社員おいても、営業がお客様対応するから、クレームはお客様窓口が対応するから、自分たちには関係ないということではなく、部門ごとに発信すべき情報と、どのようなタイミングで、どうやって発信していくのかを決めて、業務の一部として組み込んでいくべきです。会社の情報を中央で制御するのではなく、各部門から発信していかなければなりません。社員一人一人が、ネットのリテラシーを持って情報発信をしていかなければ、ネットのスピードに追いつけなくなって取り残されてしまいます。

求められるのは、リアルタイムでの情報発信です。スピードが求められる情報発信を外部のプロに依頼するというのは難しくなっていきます。社員が、きちんと情報発信できることは、トラブル時のリスク対応にもなります。トラブル時は、平時よりも情報を早く正確に出すことが求められます。それは常日頃から心がけていないとできないことです。

ネットへの情報発信は、ルーチンワークの一つだとして、発信するツールや承認ルールを整備して、まずやってみるべきです。最初はなかなかうまくいかないと思います。これまでにやったことのない新しいことですから、失敗も当たり前なのです。そんなことをやる必要はないという意見も出るでしょう。しかし、時代が変わっていきます。お客様は、営業時間外であってもネットを通じてつながっているのです。

制作会社には自社のメッセージを代弁してもらうのではなく、自分たちの声をそのまま顧客に届ける仕組みを作ってもらうべきなのです。制作者側も、プロとして定義される業務が、これまでのメディアと異なることを意識しなければなりません。洗練されたビジュアルや、訴求力あるコピーを作成するだけでなく、プロでなくとも、一定のクオリティを担保できる仕組み作りが求められます。誰が作っても美しく見えるWordpressのテンプレートのようなものをデザインするのです。

企業がWebサイトを使ってお客様とコミュニケーションする取り組みは、まだまだ十分とは言えません。だからこそ競合に先駆けて試行錯誤を繰り返していけばアドバンテージを取ることができます。そしてデジタルに対応した組織を作ることができれば将来に向けた新しいビジネスが創出できる可能性もあるのです。

 

石原 強 (Tsuyoshi Ishihara)

株式会社アーチャレス 代表取締役社長 / デジタルマーケティングディレクター Webの黎明期である1996年からこれまで20年以上、大手企業のWebサイト構築、運用を手がけ、ネット戦略立案から社内体制づくりを企業担当者とともに実践してきたデジタルマーケティングのエキスパート

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