企業がSNSマーケティングに取り組む意味とは?

企業と顧客の関係が変わりつつある

インターネットの浸透によって、企業と顧客の関係が大きく変化しています。企業がこれまで行なってきたようなコミュニケーションでは顧客にメッセージが伝わらなくなっています。顧客とのコミュニケーションを円滑にするためには、今までのやり方を見直す必要があるのです。

Group of young people texting on their cell phones - isolated over white

ユーザーが接する情報量の変化

これまで企業と顧客の最初の接点は電話による営業マンへの問い合わせや店舗の来店など、リアルの接触が担ってきました。顧客が多くの情報を集めるには手間と時間がかかっていました。その為、顧客は限られた情報から購入意思決定を行うほかありませんでした。その状況はインターネットの登場によって一変します。


やや古い資料になりますが、総務省の調査によると国内の情報流通量は2001年から209年の間で199倍になっています。インターネットによって顧客にもたらされる情報量は飛躍的に増加しました。


しかし、その間に情報を受け取る顧客側の情報消費量は横ばいです。情報流通量の増加に比べて処理能力はほとんど変わっていません。要するに現在流通している情報の大部分はスルーされているのです。企業側は情報が届かないから発信する量を増やす。すると、顧客にはさらに届かなくなってしまう。という悪循環に陥っているのです。


顧客側から見ても、情報量が多いことは、プラスの面ばかりではありません。検索結果に表示される膨大な情報の中から、自分に必要な情報や好ましい情報を選び出そうとしても、多すぎて迷ってしまい、結局たどり着けないというようなミスマッチが起こるのです。このミスマッチを埋めるのが、ソーシャルメディア(SNS)の役割になっているのです。

 

ソーシャルメディア(SNS)の評価が購入の決め手になる

検索エンジンを使って自分の力で必要な情報を得るのは、一定の技術と根気が必要です。そこでユーザーは自分自身で判断するのではなく「仲間が支持するかどうか」を判断基準として採用したのです。顧客は検索エンジンから得られた情報からの有効な情報を選びだす手段として、ブログの評価や口コミサイトの人気ランキングを活用しています。顧客はコミュニティの力を借りることで、インターネットから自分にとって最適な情報を手っ取り早く選び出すことが可能になりました。


顧客にとって、今やインターネットがスタート(ニーズの顕在化)でありゴール(購入意思決定)となっています。周囲の仲間が話題にすることでニーズを自覚します。そこで検索エンジンやメディアなどで情報を収集し、候補となる商品やサービスを選定します。さらに口コミや仲間の意見を参考にして比較検討することで、どれが自分にとって最適なのか判断します。


企業や店舗に問い合わせなくても購入意思決定に必要な情報はすべてインターネットで得られてしまいます。そのため、リアルの窓口にコンタクトするタイミングでは、顧客の購入意思は固まっているのです。このような顧客の購買行動の変化によって、顧客と企業が直接コミュニケーションする機会が減っているのです。

 

ダイワスーパーWebサイト

実際にSNSでビジネスを変えた事例を紹介します。愛知県岡崎市のスーパー「ダイワ」は赤字をかかえるローカルスーパーでした。新鮮なフルーツを使ったフルーツサンドを売り出し、SNSのInstagram(インスタグラム)で「映える」見た目が話題となって近県からも買い物客が集まり、あっという間に人気店となりました。

その「ダイワ」が東京に進出した際、コロナ禍にぶつかり、看板のフルーツサンドがまったく売れませんでした。捨てるのはもったいないので、近所の人達に渡していたら、その中の一人がツイッターに投稿し、リツイート数が日本1位に。あっという間に行列ができる店となり、TVでも紹介されて話題になりました。

SNSが、売上をあげるだけでなく、全国区の知名度を持つことにも貢献したのです。

 

ソーシャルメディア(SNS)は顧客と企業の立場を逆転させる

顧客は企業ではなく仲間とのコミュニケーションに多くの時間を割くことを選択しています。その結果、多くの人が情報交換を行うコミュニティはメディアとしての機能を持つようになりました。顧客はインターネットでつながった仲間と連携することで商品やサービスを評価し、企業も評価できる力を得たのです。


インターネット以前の顧客コミュニケーションでは、企業による意図的な情報の取捨選択が可能でした。何を伝えて何を伝えないかは企業側が決めることができました。しかし、インターネットが浸透した現在では、企業が隠しても全ては隠し切れず、コミュニティの力によってオープンになってしまいます。情報を取捨選択する権利は顧客側が持っているのです。インターネット前後で企業と顧客の立場が逆転したのです。

 

先ほどの事例とは逆に、たった一人の投稿が企業経営を揺るがす事態に発停した例もあります。インスタント焼きそばの定番商品「ペヤング」を生産している「まるか食品」は、2014年にツイッターに投稿した虫混入の写真をきっかけに、1日40万食の生産を停止。半年間店頭から消えることとなりました。全国区で報道されたので、まだ記憶にある方も多いと思います。


これまでの企業ブランドが、企業(リアルの店舗やマスメディア)主導でつくられてきたものだとしたら、これからの企業ブランドは顧客(ソーシャルメディア)主導で作られます。顧客は企業やメディアがお勧めする商品やサービスを選ぶのではなく、自分(と周囲)が好感を持っている企業からサービスを選ぶのです。企業は、このような顧客との関係変化に対応した、「SNSマーケティング」に取り組んでいかなければなりません。

 

企業がSNSマーケティングに取り組むメリット

情報を取得した後の行動を見てみると、検索エンジンは顕在化したニーズに対して複数の回答を受け取りよく吟味してから行動をとります。それに対して、ソーシャルメディアは「気付き」によって潜在的なニーズの顕在化をすると同時に、信頼ある友人からのアドバイスと感じて即行動につながります。情報接触後の行動が早いのがSNSの特長です。

 

さらに、SNSの中で企業が顧客とつながって「仲間」として認められれば、自然に情報を受け取ってくれるようになり、メッセージが伝わり易くなります。さらに顧客と同じ目線に立って対話することによって、企業に対する理解を深め、結びつきを強めることも可能になります。

 

結びつきが強まった顧客(ファン)が、つながりのある友人へ情報をシェアすることによって注目されます。製品・サービスを使っていない人もファンになる可能性があるのです。これが新たなつながり(集客)を生むのです。ソーシャルメディアは顧客と信頼関係を築き、熱烈なファンを生みだせるメディアなのです。

 

ヤッホーブルーイングWebサイト

積極的なSNSマーケティングによってファンを増やしている企業に、「よなよなエール」で知られるクラフトビールメーカーの株式会社ヤッホーブルーイングがあります。ユニークなPRスタイルは多くのメディアで取り上げられています。

詳しくは、以下に記事をピックアップしましたのでご参照ください。

 

SNSマーケティングで顧客と向き合う心構え3カ条

顧客とつながるためには、顧客の「共感」を引き出すことが不可欠です。そのためには、企業が個人のつながりに参加する、その中で頼れる「仲間」として認知してもらうことが第一歩となります。しかし、個人対個人のつながりよりも企業対個人のつながりは心理的ハードルが高いのです。

 

なぜなら、企業は一方的に売り込みの情報ばかり提供することが多いと思われているからです。顧客の心理を理解せずに、SNSで話題づくりをしようとしても、スルーされるか顧客の反発をまねいて炎上するのがオチです。

 

SNS上では「企業として何を言うか?」よりも「顧客にどう共感していただくか?」が重要です。顧客とつながるためには以下の3つの点を十分に考慮しなければなりません。

 

1.情報を「与える」のではなく、顧客から「聞く」

顧客が話していることに耳を傾けることによって、顧客の理解を深めることができます。つながっている人たちの中では何が話題なのか?どんなことに盛り上がっているのか?を知ることです。顧客は顧客なりの考えや価値観を持っています。いきなり意見を言うのではなく謙虚な姿勢でたずねてみれば、企業側に有益な情報を得ることができます。

 

2.「従わせる」のではなく、仲間として「参加」する

ソーシャルメディアは顧客の持つ影響力を借りることによって情報が伝わっていきます。参加者同士が気軽なやりとりをする中で、それに即しない情報、空気を読まない発言は排除されます。たとえば、文脈に関係ない内容、他人行儀な文面、一方的な売り込みなどです。ソーシャルメディアの持つ「世界観」や参加者のつながりに配慮して、一緒に楽しめることを目指すべきです。

 

3.「売り込む」のではなく、「対話」する

ソーシャルメディアは「個人が主役」の世界です。企業も顧客も一参加者として対等な関係なのです。やりとりの中で意見が異なることがあっても、友人であればいきなり上から目線で間違いを指摘することはありません。顧客が理解できるように対話すること、わかりやすくアドバイスすること、疑問に対して納得できる答えを準備すること、顧客から共感を引き出せるような「対話」を心がけるべきです。

 

顧客とのつながりは将来のブランド資産になる

企業ビジネス成果に結びつくSNSマーケティングとは、顧客と良好な関係を保ち、信頼を獲得し、ファンを増やしていく、プロセスを確立し継続することです。そうして培った顧客とのつながりは、将来における企業のブランド資産として競合他社に対する大きなアドバンテージとなるのです。

 

石原 強 (Tsuyoshi Ishihara)

株式会社アーチャレス 代表取締役社長 / デジタルマーケティングディレクター Webの黎明期である1996年からこれまで20年以上、大手企業のWebサイト構築、運用を手がけ、ネット戦略立案から社内体制づくりを企業担当者とともに実践してきたデジタルマーケティングのエキスパート

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