売れるECサイトには購入したくなる理由がある

ユーザーは購入してから後悔したくない

Webサイトでなかなか成果が上がらない。しかし、どこをどう改善したら良いのかわからない。では、ユーザーに商品を購入してもらえない理由を考えてみたらどうだろうか。競合より機能が少ないからだろうか? 価格が高いからだろうか? 商品の魅力が伝わっていないのだろうか? どれでもない。この商品を買ってもいいと、背中を押してくれる情報が足りないのだ。 Young couple meeting construction planner

 

商品を購入する場合、ユーザーは似たような商品の中から、自分に合ったものを選び出さなければならない。その時に一番恐れるのは、選択に失敗して後悔することである。「後悔先に立たず」という言葉があるが、購入した後に、期待はずれだと思っても遅い。だから、ユーザーは徹底的に情報を集める。比較してもどれが一番いいのか判断できない。さらに評判など関連情報も集める。賛否両論あって判断できない。周りに相談しても、知ってる人がいない。そのうち情報を探すのに疲れて「今、決めなくてもいいかな」と諦めてしまう。

 

選択肢が多いことが購入を難しくする

インターネットが無い時代は、入手できる情報が限られているから、マスメディアと、限られた知り合いからの口コミに限られていた。BtoB向けの商品だと、マスメディアにも乗らないから、口コミに頼ることになる。知り合いの紹介ならば大丈夫ということで、他を検討することも少ない。選んだ結果多少使いにくかったとしても、ほかに選択肢がないのだから、「仕方ないこんなものなのだろう」と諦めてしまうことができた。結果的に失敗しても「紹介した〇〇さんが悪いんだ」と責任転嫁することもできた。少ない選択肢だから、選ぶのは容易だったのである。

 

スマ―トフォンで、いつでもインターネットにつながる現在では、豊富な情報が手軽に得られるようになった。比較サイトやまとめたページがあるから、候補がたくさん見つかる。そこからリンクを辿れば、事例や口コミに辿り着ける。仮に知り合いから紹介されたとしても、言ってることが正しいのか検証が可能になった。あくまでも選ぶのは自分の責任であり、失敗したら責任を追及される。「ちゃんと調べないお前が悪い」と怒られてしまうのは嫌だから、言い訳できる材料を集める。「そこまで考えてたのに、失敗したなら仕方ない」と周りに感じてもらえるような理論武装ができないと、安心して購入できないのである。

 

ユーザーが、商品購入を失敗したと感じるのは、商品そのものの良し悪しというよりも、ユーザーが期待する成果に見合わなかったということである。後でそう思っても販売した企業は売り上げを得るから問題ない。そもそもネットが普及する前までは、売った後のことなんて気にしないで済んでいた。しかし、今は失敗したと感じると、ユーザーが「裏切られた」と企業にWebサイトからクレームを入れるのである。それが聞き入れられないと、すぐさまネットに書き込むのだ。曰く、「営業がいいことばかり言うけど、商品は使えない」「本当は使えないのがわかっていたのに売りつけられた」コレが事実かどうかは問題ではない。失敗が自分のせいだと認めたくないから、売る側に責任転嫁するのである。

 

商品を売り込むのではなくユーザーを不安を取り除く

こんな時代に企業はどのような行動を取るべきなのか。ユーザーが「自分にあっていない間違ったものを選択してしまうのではないか?」という不安を軽減して、安心して購入するためのユーザー支援の情報提供である。

 

ユーザーが自分で判断するために十分な情報を提供してくれたと感じさせることがゴールだ。商品の特長や良さをアピールするだけではなく、結果としてその商品に辿り着くための選び方、ユーザーが選択するための基準づくりができるような情報提供が効果的である。ユーザーの抱えている課題への対処方法、かけるべきコストと取りうる選択肢、広く世の中で行われている施策、と言った購入の前提となる現状分析や解決法を提供するのである。

 

普段見ているFacebookのタイムラインでこんな記事が目についた。

ニトリの店員が明かす「買いたい/買いたくない」商品トップ3

記事中で買いたくない商品として取り上げられたのは、調理用品の「キッチントング」その理由としてこのように書かれている。

「キッチン雑貨で万人向けじゃないのは大きなマイナス要因だと思います。“握力が鍛えられるトング”という視点で見ればアリかもしれませんが」

こんな記事を読むと、思わずその商品を探してしまうし、次に購入するときに商品の「重さ」を気をつけた方がいいんだという選択基準を得られる。これはメディアの記事なので「個人的な感想」として自由に書けるのかもしれないが、企業が自社の商品をこのように伝えられれるようになれればユーザーの印象も大きく変わってくる。

 

商品説明に関して、スペックや特長を伝えるのは当然として、敢えて商品のマイナス面の情報も提供する。こういう場面ではとても便利になるけど、こんな時には対応できない。こんな用途に向く、けど、これには向かない。というような説明を添えると自分の利用シーンを想定して購入後のイメージがしやすくなる。マイナス面の情報を提供すること自体、ユーザーに「正直な企業」という印象を与えて信頼感が増す。商品のマイナスを企業のプラスに変えるのだ。

 

こんなやりとりが実現すると、企業のビジネスにどんな影響があるのか? 営業の仕事が、とても効率的になるのである。今のユーザーは、勉強熱心である。自ら商品を選ぶための必要な知識を学び、競合他社との違いを理解し、自分たちの目的に合ったものに絞り込んでから、依頼されるようになる。ウェブサイト上でのコミュニケーションの良し悪しが企業の信頼を左右するようになる。。ユーザーから選ばれる企業になることが売り上げ向上に直接つながるようになるのだ。商品の購入がうまくいくことはユーザーにとっても喜ばしい体験なのである。

 

石原 強 (Tsuyoshi Ishihara)

株式会社アーチャレス 代表取締役社長 / デジタルマーケティングディレクター Webの黎明期である1996年からこれまで20年以上、大手企業のWebサイト構築、運用を手がけ、ネット戦略立案から社内体制づくりを企業担当者とともに実践してきたデジタルマーケティングのエキスパート

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